2005年05月25日

半島を出よ

半島を出よという本を読んだ。
物語りとしては、福岡ドーム周辺を北朝鮮の反逆軍が
占拠し、訳ありの少年たちが立ち向かうというものである。

これを呼んで僕達は恵まれてると感じた。
東京に行こうと思えば行けるし、
自分の将来について、出生成分など関係ない。
親が職人だから、息子は建築家になれないとか聞いた事がない。
今は、1円から株式会社を作れるらいし、失敗しても0に戻るだけである。
処刑されることはない。

こんな事ばかり書いても、しょうがないので
僕なりに建築的に気付いた点をあげていこうと思う。

まず、住基ネットについてである。
国民を11桁の番号で管理しようとするものである。
小説では、検問での本人照合や占領軍ににも発行していた。
番号を照合するだけで、その人の氏名、住所、家族、学歴、病歴、性癖、所得、預金などありとあらゆる個人データがわかるのである。そして、それは漏えいしやすい。
やはりこれは、建築のあり方を変えて行くと思う。
この間も新建築に電脳住宅が掲載されていたが、そういう時代はすぐそこまで来ている。
例えば、携帯電話に自分の番号を登録し、それがないとコンビニでジュースも買えないし
電車にも乗れないという時代が来るかもしれない。

水洗便所について
小説では、占領軍はドーム周辺に野営していたが、問題になるのは、生ゴミの処理とふん尿の処理である。
僕はいつか、水洗便所は今世紀最大の発明であると聞いたことがあるが
その通りだと思う。
当然、そのままにしておけば、異常な臭気を発し、伝染病の危険すらある。
それを文字通り、水に流せるのである。確かにすばらしいと思う。

インフラストラクチャ−について
小説では、都市のガスタンクを爆破して、都市にはりめぐらされた配管を伝い
街を火の海にする、という話しが出てくる。
今は、井戸に毒をまくのではなく、ガスタンクを砲撃するのである。
小説では、福岡を占領された日本政府は九州を封鎖してしまう。
当然、物流もストップ。
経費削減のため、できるだけ在庫を少なくしている各業者は、
直ぐに在庫切れとなってしまう。
都市のインフラは、現在人にはなくてはならないものなのである。

住宅産業について
小説では占領軍の後続12万人のための住宅建設をすることになる。
福岡市役所が指揮をとっていたが、占領後2、3日の出来事で役所にしては
早い対応だなと感じた。
台風で土砂くずれがあってもそんなに早く対応してくれない。
また、12万人のための住宅を新築するこになっているが、
コンバーションとか、サスティナブルとかいったキーワードを使って
描ききれば、もっと今風だなと思った。

最後に都市の風景について
日本は鎌倉時代の元冦以来、本土侵略の経験はない。
福岡で、占領軍の乗ったジープが、我がもの顔で走らせる姿を想像すると、ぞっとする。
また、福岡封鎖のため西鉄福岡駅、JR博多駅は封鎖される。
何度も利用している僕としては、その事を想像すると、閉鎖感に包まれるだろうと思う。
都市からアクティビティを取り除くと、廃虚なのである。

この小説は、丹念に描かれており
建築的にみてもすばらしいと感じた。
著者の村上龍氏が建築を志せば、きっとすばらい建築家になった
のではと思う。

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幻冬舎
村上 龍(著)
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